ワックスは植物性、動物性、石油系など様々な原料から得ることができます。
今回は動物性のワックスについてご紹介させていただきます。
動物性ワックスとは
動物性ワックスとは動物が分泌した蝋分から得られるワックス(ロウ)のことです。
高級脂肪酸と高級アルコールのエステルが主成分です。
動物は蝋分を分泌することによって体の保護、撥水などを行います。
動物性ワックスの種類と特徴
主なものとして3種類ご紹介します。

イボタの木に生息するイボタカイガラムシという昆虫が分泌するワックスから得られ、木の枝が雪で覆われたように見えます。
1500匹の虫に対して1~2gほどしか得られず高級な蝋となります。
板状のものを割ると、断面が結晶になっているのが特徴です。
ロウソク、ろうけつ染め、艶出し剤、絶縁材など

ミツバチの巣から得られるワックスです。
蜂蜜のような少し甘い匂いがあり、粘り気があるのが特徴です。
歴史はかなり長く、エジプト時代にミイラの保存用として使用されたという記録があります。
蜜蝋は淡黄色のため生蜜蝋(黄蝋)と呼ばれますが、化粧品などに用いるために漂白した蜜蝋は晒蜜蝋(さらしみつろう)と呼ばれます。
化粧品、製薬軟膏基材、ハンドクリーム、靴クリーム、キャンドル材料、光沢材、皮革の艶出し、絶縁材料、接ぎ木、果物のコーティング、防錆・防水、スキーワックス、彫刻の表面保護、ミツロウラップ、ろうけつ染め材料など

羊の皮脂から分泌されて羊毛に付着した脂肪質「ウールグリース」を精製した蝋(ワックス)です。
ラノリンの組成はきわめて多くの脂肪酸とアルコールのエステルからなっており、その組成を推定することは難しいと言われています。
ラノリンは淡黄色~淡黄褐色の粘着性のある半固体のワックスで、少し獣臭のようなにおいします。
かなり粘度があるため、一度衣服ににつくとなかなか落ちません。
医薬品、化粧品、防錆、潤滑、繊維剤、プラスチック工業、セメント・コンクリート工業、塗料工業、農業用
その他には鯨の頭部にある油から採れる鯨蝋、ラックカイガラムシが分泌するセラック蝋など様々な動物性ワックスがあります。
名称 | 融点(℃) |
---|---|
イボタ蝋 | 80~84 |
蜜蝋 | 60~67 |
合成鯨蝋 | 46~50 |
ラノリン | 37~43 |
動物性ワックスは種類ごとにかなり特異な性質をもつワックス(蝋)です。
ご使用の際は是非ご参考いただけますと幸いです。

山桂産業株式会社は1946年創業の油(オイル)と蝋(ワックス)の卸問屋です。
ECサイト「あぶら屋ヤマケイ」では、多種多品目の品揃えでお待ちしております。