油脂を構成する脂肪酸は様々な特徴を持っています。
脂肪酸について知ることでその油脂自体の性質もわかるようになります。
今回は脂肪酸の製造方法と種類についてご紹介させていただきます
脂肪酸とは
脂肪酸は脂質を構成する成分のひとつで、油脂は3つの脂肪酸と1つのグリセリンが結びついたトリグリセリドとして構成されており、脂肪酸の種類によりその油脂の性質が変わります。
動植物油脂を構成する脂肪酸のほとんどが偶数個の炭素原子をもっています。
また、構造の違いによって飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
飽和脂肪酸
飽和脂肪酸とは、二重結合、三重結合がない脂肪酸のことです。
飽和脂肪酸が多く含まれている代表的な油脂には、ヤシ油、パーム油、パーム核油など常温(25℃)で固体の油脂が多いです。
二重結合がないため非常に安定しており、酸化しにくいのが特徴です。
不飽和脂肪酸
不飽和脂肪酸とは、二重結合、三重結合をもつ脂肪酸のことです。
不飽和脂肪酸を多く持っている油脂は、酸化されやすい特徴があります。
二重結合が1つのみの「一価不飽和脂肪酸」は、二重結合が2つ以上ある「多価不飽和脂肪酸」と比較して酸化しにくいです。
不飽和脂肪酸…二重結合、三重結合がある脂肪酸で酸化しやすい
脂肪酸の種類
主な飽和脂肪酸 | ||
---|---|---|
炭素数 | 名称 | 主な油脂 |
8 | カプリル酸 | ヤシ油・パーム核油 |
10 | カプリン酸 | ヤシ油・パーム核油 |
12 | ラウリン酸 | ヤシ油・パーム核油 |
14 | ミリスチン酸 | ヤシ油・パーム核油 |
16 | パルミチン酸 | 牛脂・豚脂・パーム油 |
18 | ステアリン酸 | 牛脂・豚脂 |
20 | アラキジン酸 | マカダミアナッツオイル |
22 | ベヘン酸 | 落花生油 |
主な不飽和脂肪酸 | |||
---|---|---|---|
炭素数 | 二重結合数 | 名称 | 主な油脂 |
16 | 1 | パルミトレイン酸 | 牛脂・豚脂 |
18 | 1 | オレイン酸 | オリーブ油・椿油 |
18 | 2 | リノール酸 | ヒマワリ油・サフラワー油 |
18 | 3 | α-リノレン酸 | エゴマ油・アマニ油 |
18 | 3 | γ-リノレン酸 | 月見草 |
20 | 4 | アラキドン酸 | 魚油 |
20 | 5 | エイコサペンタエン酸(EPA) | 魚油 |
22 | 6 | ドコサヘキサエン酸(DHA) | 魚油 |
脂肪酸の製造
油脂はすべて脂肪酸の原料となります。
飽和脂肪酸であるラウリン酸、カプリル酸、ミリスチン酸などはヤシ油・パーム核油が原料となり、パルミチン酸、ステアリン酸は牛脂、パーム油が原料となります。
また、不飽和脂肪酸であるオレイン酸は牛脂、リノール酸は大豆油、米油、亜麻仁油を原料とすることが多いです。
品質の良い脂肪酸を得るために前処理として精製を行います。
油脂をグリセリンと脂肪酸に分けるために加水分解を行います。
加水分解した脂肪酸はその過程で着色することなどがあるので、色やにおいを取り除くために精製します。
加水分解して得られた脂肪酸は様々な種類の脂肪酸が混ざり合っているので、融点の違いなどを利用して脂肪酸ごとに分別していきます。
固形の脂肪酸は使用しやすいように粒やフレークに成形する場合があります。
脂肪酸の用途
脂肪酸の用途としては以下の事例があります。
化粧品
医薬品
キャンドル
石鹸
界面活性剤
塗料
クレヨンワックス類 など
弊社取り扱い脂肪酸原料
ラウリン酸(C12:0)
ミリスチン酸(C14:0)
パルミチン酸(C16:0)
ステアリン酸(C18:0)
パームステアリン酸(C18:0)
ベヘン酸(C22:0)
脂肪酸の種類は300種以上と数多くありますが、今回は主要な脂肪酸だけをご紹介させていただきました。
是非ご参考にしていただければ幸いでございます。
山桂産業株式会社は、大阪の北船場にて1946年に創業した油と蝋の卸問屋です。
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