羊の毛から得られる蝋(ラノリン)は他の蝋にはみられない特徴を多くもっており、様々な用途で使用されています。
羊の毛から蝋がとれるの?と不思議に思いますが、今回はそのラノリンについて詳しく解説させていただきます。
ラノリンとは?
ラノリンとは、羊の皮脂から分泌され羊毛に付着した脂肪質「ウールグリース」を精製した蝋(ワックス)のことです。
動物由来の油や植物由来の油がトリグリセリドであるのに対し、ラノリンの組成は極めて多くの脂肪酸と高級アルコール・ステロールのエステルからなっており、その組成を推定することは難しいと言われています。
ウールグリースの回収と精製方法
刈ったばかりの羊毛にはウールグリース、泥、尿、汗などが付着しているため、洗浄した後に分離機によりウールグリースと羊毛に分けられます。
その後ウールグリースは酸・アルカリ処理、脱色・脱臭などの処理が行われ、ラノリンが出来上がります。
羊1頭から羊毛が約4㎏採れ、綺麗に洗毛すると2~3㎏になります。
羊毛内の内訳
羊毛繊維 49~61%
ウールグリース 11~16%
水分 10~12%
土砂・夾雑物 8~19%
スイント 6~8%
ラノリンの特徴
ラノリンは淡黄色~淡黄褐色の粘着性のある半固体のワックスで、少し獣臭のようなにおいがします。
人の皮脂に近く、肌なじみに優れしっとり感があります。
また約300%もの高い抱水性をもっており自然な艶があり、靴クリームなど革製品のお手入れとしてよく使用されています。
かなり粘度があり、一度衣服につくと落とすことは容易ではありません。
弊社で開発した「本革お手入れクリーム」にもホワイトラノリン(吸着精製ラノリン)を配合しております。
ラノリンの用途
ラノリンは他のワックスにはみられない多くの特性をもっており、その性質、性能を活用した様々な用途で使用されております。
- 医薬品
- 化粧品
- 防錆、潤滑
- 繊維剤
- プラスチック工業
- セメント・コンクリート工業
- 塗料工業
- 農業用
など
ラノリン製品の種類
ラノリンおよびその派生品には以下のものがあります。
1.精製ラノリン(ラノリンA・ラノリンB)
2.吸着精製ラノリン
3.液状ラノリン
4.吸着精製液状ラノリン
5.酢酸ラノリン
6.水添ラノリン
7.ラノリンロウ
8.ラノリン脂肪酸
ラノリンは羊の毛から得られる蝋でかなり面白い特徴がありますので、革製品のお手入れや化粧品などに是非一度使用してみてください。
弊社は大阪の北船場にて1946年創業の油脂や蝋の卸問屋です。
ECサイト「あぶら屋ヤマケイ」では、多種多品目の油脂蝋の販売をしております。
また、OEM・ODMサービスもしており、油脂や蝋を使用した製品に関する開発受託や製造受託もしております。
お困りのことがございましたらお気軽にお問い合わせください。